きらら探求軍〜細々と息をするオタクの足跡〜

主にまんがタイムきららコミック、ウマ娘に関することをぼそっと書いています。ちょこちょこyoutubeにも投稿していたり。

15 ゆりゆり2~酒と泪と女と女の友情と慕情と虚言と暴力と妄想と~

※当記事は本を痛めない事を第一に極力写真は使わないよう努めます。

※※努めたつもりなんですけど結構使っちゃった方かな?

 

震撼しているナナシです。ちょっと書かせて、色々と。この興奮を。

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始まりは1つのツイート

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これです。これが全ての元凶。

当時、と言うか今でもそうですけど私「ゆるゆり」にハマっていまして。きっかけは何だったかな、忘れたけど多分「私に天使が舞い降りた!」だったかな。とりあえず1度アニメは見ておこうと。「dアニメストア」でOVAまで見れますから。

それから単行本もぼちぼち買い集めて今10巻まで持っているのですが、そんな時に上のツイートが流れて来たのです。

ゲーマーズにて『ゆるゆり17巻』『ゆりゆり2』『大室家3巻』を買うと有償特典として『B2タペストリー』が買える」と。

買うでしょ?

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無事タペストリーを手に入れた私はまず最初に『ゆりゆり2』を手に取ったのです。だって『ゆるゆり』はまだ11〜16巻持ってないし、『大室家』も1、2巻持ってないし。『ゆりゆり2』は描き下ろしの短編集というのは知っていたのでこれを最初に読み始めたのです。

そして震撼しました

今回はその感想を延々と書いていこうと思います。だから多分この記事長い。

最後にまとめるつもりなので(「私がショックを受けた理由」)そこだけでも読んでいただきたい。

その為の目次。その為のまとめ。

注釈

書き終えた後に確認したら文字数なんと8,000字オーバー。結構読むのに時間かかると思うのでやっぱり時間がない場合は最後の「私がショックを受けた理由」だけでも一読いただければ幸いです。文字数これから更に増えるかもしれない、と言うかここの注釈文だけ増えてますから。

 

ゆりゆり2

これです。

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コミック百合姫」にて掲載された計5本の読み切りが載っています。

最初表紙の右下(正確には帯)、「何か髪の毛付いてるな・・・」と手で掃っていたのですがこれ表紙のデザインなんですね。裏面にも中表紙にもありました。近代芸術によくある「何か線をこう、ピャッ!」とやったやつみたいなものかなってこの時は思っていました。 

あと本編と何も関係ないけど表紙の紙質と言うか触り心地がとても良い。

 

1話「あゆみと美咲の場合」

(多分)高校3年のあゆみと後輩である1年の美咲のお話。

廊下で初めてすれ違った時に顔が好みで一目ぼれしたあゆみはすれ違うたびに目で追っていると美咲から「目が合ってキモい」とバッサリ一言。よく先輩にそんな暴言はけるよな・・・

好きな人にキモいと言われショックを受けるも、

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あゆみはとてもたくましい子でした

それから友達に極力あの子(美咲)とは目を合わせないよう注意されたあゆみはつけていた「美咲ちゃん観察ノート」と一緒に初恋を破棄。失恋の涙を流すあゆみでした。まず観察ノートつけている時点でこれ悪化してヤンデレ化していた可能性もワンチャン、何て思っていました。

その後、「脱ストーカー宣言」をした元ストーカーのあゆみ。廊下で美咲とすれ違う時、無理に視線を合わせないよう努力したせいか、かえって美咲の目に留まり呼び出しを食らってしまいます。

あゆみ曰く「言いたいことがあるならハッキリ言ってくれ」との事。見てくるのがキモいって事ではなかったようです。それならばと正直に気持ちを告白するとすごく怒られてしまったあゆみ。しかも怒った当人はその事の自覚なし。

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そしてあゆみのターン。そうして授業をサボってでも私の話を聞いてくれるのか。そしていつも目が合っていたという事はあゆみだけでなく美咲の方もあゆみを見ていたのでは・・・?

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これですよ、この爆発力

自覚していなかっただけで美咲もあゆみが好きだったんですねえ。

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良き。一言言うと良き。とても分かりやすい百合をどうもありがとう。

ところで、同じ部活に入っていない限り先輩と後輩とでここまで親密な関係を築く事は不可能ですよね、普通

 

2話「奈央と千佳の場合」

いつも電車で見かける北高の女の子に恋をしている奈央。何とか仲良くなる手はないものかと考え閃いたのが「あなたとメールしたいって男子がいるんだけど』大作戦」。

その作戦名に従い自身のメールアドレスを男子「健太」のメールアドレスに偽って女の子に渡し、男子として相手の情報を取り入れようとする、もうただの詐欺的手法で女の子の名前(千佳)やそれ以外の趣味や特技を聞き出します。こっちもたくましい子

奈央としては無理でも健太としてなら言いたいことが言える事を知った奈央はシンプルに千佳に告白するも、その後は返信がパッタリ途絶えてしまいます。

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その後健太の友達として千佳に直接健太との具合はどうか尋ねた奈央に、千佳は「その事でちょっと相談がある」と放課後一緒に映画を見る事に。その映画には嘘つきが墓穴を掘って自滅するという波乱の展開があり、その嘘つきと自分を思わず重ねてしまう奈央。必死で気付いていなかったけれど、嘘をつき続けた上での放課後ですからね。

そして健太君の話へ。千佳はメール交換するのを止めようと思っていると言います。なんでも告白されたけど千佳には別に好きな人がいるからだそうです。どうして私の事を好きになったんだろう、と呟いた千佳に奈央は実は私が健太だったと嘘をすべて白状します。すると、

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「泣かせた───!?」と途轍もにショックを受ける奈央。にしても可愛いよ千佳。

金輪際千佳には近づかない事を約束し、ダッシュで逃亡します。

するとそんな奈央を追うスプリンター

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奈央を捕まえた千佳は「ついた嘘は健太だけか、好きっていうのも嘘なの」と迫ります。奈央が正直にその気持ちは嘘じゃないと告白すると、その言葉を聞いて健太にメールの返事を送った千佳。千佳が好きだったという人は、

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まさに奇跡のようなお話。だってこれ通学に使っている電車の中で互いに一目ぼれしていたって事でしょう? 現実電車の中で出会いなんてないからね

 

3話「志保と佳奈子の場合」

周りも公認、大親友の佳奈子と志保。どうでも良いけど私はこういう「全く自覚のない百合っ気満載のペア」が大好きです。めちゃくちゃ愛らしい

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志保と付き合えたらすっごく幸せなんだろうなぁ、と放課後佳奈子は「もし自分が志保の事好きだったらどうする」と尋ねます。すると「そうだったらすごく嬉しい」と志保。あっさりカップルになってしまいます。

有頂天に達した佳奈子。

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翌日からの学校生活に期待に胸を膨らまします。

翌日。いつものようなスキンシップをとるとやけに冷たい反応を示されてしまった佳奈子。具合が悪いのかなぁと志保の健康を案じますがその後も距離をとられ続け、ついにしばらく一緒に行動するのを止めると宣言されてしまいます。

どうして志保は不機嫌なのか心当たりがないようである佳奈子はその日の放課後、体育倉庫に志保を呼び出します。場所のチョイスに恐ろしさを感じるのは私が根っこからの陰キャだからでしょうかね。

佳奈子はどうして自分から距離をとるように行動していたのかを志保に問い詰めます。最後に「・・・好きじゃなくなった?」と一番そうであって欲しくない質問をした佳奈子。「学校でその話は・・・」と志保に遠慮を求められた佳奈子はカッとなり、強引に口づけをしてしまいます

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涙を流す志保を見て我に返った佳奈子は逃げるように家に帰ります。

落胆を極めた佳奈子。

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彼女の元を志保が訪れます。志保は佳奈子に謝りに来たのです。

一緒にいられる事が嬉しかったけど、付き合っている事が周りにばれたらどうしようと、そんな不安が志保と佳奈子との間に距離を作って伊野です。キスしたときに泣いていたのはその時のシチュエーションがあんまりだったからとの事。初めてはもっとロマンチックなのが良かったらしい。ちなみに佳奈子もこれが初めてだったようで初めてが問答無用と言う、これまたたくましい女の子になってしまいましたとさ。

とにかくシチュエーションに文句があった志保はその後、万全の体制を整え幸せなキスをします。

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次の日。普段通りのスキンシップをとろうとする佳奈子と周りに付き合っている事がばれることを危惧する志保。校門前でイチャイチャしていると、

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やっぱり公認カップの佳奈子と志保でした。

男女のペアってどんなに仲良くしていたって普通「付き合ってるの?」何て事、悪ふざけでもない限り聞きませんよね。でも当人は過剰にその事を意識してしまう故に変に距離をとってしまい結果として周りからも怪しまれるという悪循環。この微妙な人間関係がまた愛い

何かとにかく性癖を暴露している感が半端ないな。

 

4話「恵真と翠の場合」

この話から急に絵のタッチが変わったように感じました。これまでは子供っぽさのある丸みを帯びた絵だったのに急に大人っぽくなったというか。差はともかく変化があるのは当然でこれまでの3話は2009,2010年に描かれた作品だけどこれからの2作は2019年に描かれた読み切りなんですね。

 

茶店かどこかで待ち合わせをしていた翠。後から遅れてやって来た恵真は慌てて翠の元に駆け寄ります。翠には自分の髪の毛を1本1本抜いていく悪癖があったのです。この癖は4月末頃からついていたようです。

ちなみに私は自分の爪を噛む悪癖を止める事が出来ません。高校3年間1度も爪切りを使わなかったけど今はどうでも良いね。

翠はかなり気が弱い子で、クラスメイトから振られる無茶振りにも構わず受けてしまうような子でした。そんな翠に「嫌なことはハッキリ断んなきゃだめだよ」と恵真はアドバイスします。恵の髪を抜く癖は「自分の嫌な事を無理矢理やらされている事からくるストレス」が原因だと考えていたからです。

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それでも「こうでもしないと他のクラスの人と話すがない」と翠は言いますが「相手にする必要はない。て言うか私がいるんだから友達なんていなくても良くない?」とは恵真は言い返します。

これは友達想いと言って良いのでしょうか?

翠は覚えていなかったようですが、待ち合わせをしていたこの日はちょうど付き合い始めて1ヶ月の記念日なんだそうです。既にできちゃってるカップルなんですね。互いに1月を「まだ」と言えるほど濃い1ヶ月を送って来たようです。

この記念日を祝おうと、恵真は翠と一緒に見ていたネックレスをペアで買ってきました。

ネックレスを受け取った恵はそれをつけます。そのネックレスがペアで片方を恵真が持っている事を知った瞬間、

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ここでいきなり空気が一変

「嫌だって」と言わなければと。「こんな首輪なんてしちゃいけない」と言わなければと自分に言い聞かせる翠。

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ああ、て。これは熱すぎる友情や愛情が重荷になっているパターンだなって。翠には恵真以上に親密な友達はいないようだし、それを恵奈も重々承知した上で彼女として付き合ってるんだろうな、て。

最後の一ページを見るまでは。

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私、漫画で目の笑っていない笑顔って初めて見たかもしれない。

見返してみれば付き始めて1か月経つ今日は5月26日で翠に髪の毛を抜く悪癖が付いた時期とほぼ同じだったり、

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翠だけ「恵真さん」とさん付けだったり、

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怪しめる材料は出そろっていたのですね。付き合い始めてから悪癖が付いたという事は、そもそも翠は恵真が嫌いだったんでしょう。

更に思い返してみるとこの「ゆりゆり2」の表紙のカップリング。

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翠と恵真なんですよね。だから最初「あ、髪の毛だ」って払っていた表紙や帯の黒い線。やっぱり髪の毛だったんですね。翠の髪の毛。そう考えるとこの表紙、ただの百合っぽさのある表紙から途端に意味合いが変わってきますよね。

表向きには仲の良い二人の裏側に潜む残虐性。もはや芸術ですよ、3万円くらいで複製原画買わせて欲しいレベル。

ちなみにこの話のセルフオマージュが『ゆるゆり17巻』に載っています。タイトルと次の見開きを見て息が止まるかと思いました

ここで痛恨のネタバレ

4話の展開で度肝を抜かれた私は思わず単行本の裏を見てしまいました。私は本は帯を付けながら読んでいるのですが、その帯の裏。

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これ友情は3話、慕情は1話、嘘は2話、そして残酷さが4話じゃないですか。て事は最後の5話は妄想しかない、つまりここで思わぬネタバレを食らってしまったのです

ただ妄想と一言で言ってもそれは様々ありまして、例えば「ゆるゆり」に出てくるちなつや千歳や千鶴ら三千世界の妄想世界は百合要素満載ですが、4話を読んだ後でこんな前向きな妄想は私には出来ませんでした。

 

5話「夏樹と梨花の場合」

クラスメイトの夏樹と梨花は付き合っています。ただ他の人にその事を知られないよう学校では互いに知らんぷり。会話はチャットメールの中だけでやるようにルールを作って付き合っていました。

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 おまけに梨花のお相手の夏樹はかなりモテるらしく、そんな夏樹と付き合えている事に優越感を覚えていたり。

この学校って女子高かな? 女子高でもモテる女子なのかな?

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 女子にモテる女子夏樹にはとても仲の良い友達「紗代」がいて、紗代は夏樹の事好きだろうな、と怪しむ梨花。周りから「さては付き合っていたり・・・?」何て噂される紗代に「付き合っているのは私なのに・・・」と警戒心を抱く梨花

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私はこういう表情が一番好き。

ある日、梨花は先生から運ぶよう頼まれたノートを道中で落としてしまいます。「大変そうだね」と口にするだけの多分クラスメイトに心の中で悪態をつきながらノートを拾い集めていた梨花の元に夏樹がやってきます。

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一緒にいた紗代にジュースを先に行かせ、梨花のノートを拾うのを手伝います。夏樹は人が苦労している様を見て無視できない善人だったのです。

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その後、いつも通りにチャットメールでお礼を言う梨花。「久しぶりに学校で話すチャンスだったから」と返信してきた夏樹に一層ときめく梨花

ところが、

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すべては梨花の「妄想」、一人芝居だったのです。正直帯のネタバレがなかったら4話以上にダメージを負っていたかもしれません。だってこっちはマジで救いようがないじゃないですか。この子、友達いるのかな。人のこと言えないけど。

チャットメールの夏樹側の顔のアイコンはどうやって撮ったんだろう? 何て考えるとちょっと怖いですね。普通に友達なのかな? そうであって欲しい。

梨花を擁護するようでなんですけど、この妄想設定実に理にかなっていて、例えば人目の付くところで夏樹に冷たい態度で接しられても「これは付き合っている事を隠すための演技」と割り切れますし、手持ちの携帯で会話を成立させているため人目に触れる事も梨花当人が漏洩しない限りあり得ません。完全に2人(1人)の世界です。どうです、理にかなっているでしょう?

 

ちなみに私は登場人物の中で梨花がいっちゃん好き。・・・いや、やっぱり翠かな。作中じゃどっちもまともじゃないけどね。

 

私がショックを受けた理由

さて、私は「ゆりゆり2」の特に後の4話5話を読んで大きなショックを受けた訳ですが、そのショックと言うのはもちろん話の展開が予想を超えてくる物だったからと言うのもありますが、改めて考えてみればそれ以上の理由がある事に気付いたのです。その事をいくつかの段階に分けて説明していきます。 

そもそも百合って現実的じゃない

ここでは4話5話は一度置き、10年前に描かれた1,2,3話にスポットを当てます。それぞれの話を紹介した項目の最後に書いたことをここで改めてまとめると、
  1. 現実的でない先輩後輩カップ
  2. 現実的でない電車内での一目ぼれカップ
  3. 同性愛者のカップルは傍目では分かりにくい

ここで異様に現実的でないと強調した1話と2話。もちろんフィクションだから現実的でないという様にも言えますが、それに3つ目の事を加えると新しく別の事が言えるようになるのです。

それは「そもそも同性愛って現実的じゃない」

これは漫画、フィクションだから都合よく相手と出会う事が出来るのです。それも例えば学校の廊下だったり登校に使っている電車の中だったり、そういう自分の身近なところで。今はインターネットと言う便利なものが普及していますから世の同性愛者も割と簡単に相手を見つける事が出来るのでしょうが、その相手が身の回りにいる可能性は限りなく低いでしょう。更に言うと世界的にはどうか分かりませんが、少なくとも日本って同性愛に対する認識が全然進んでいないところってあるじゃないですか。同性だとどんなに仲が良くても付き合っているようには見えないのは付き合うなんてありえないって誰もが思っているからですよね。
3話では志保は付き合っている事がバレるのでは、と疑心暗鬼になっていましたがある意味これが正常な態度だと思うんです。今の世の中なら。
この「同性愛に対する認識の少なさ」と「都合よく相手に出会える」点について更に更に言うと、例えばあなたのとても仲の良い人が実は同性愛者で、ある日いきなりあなたの事が好きなんだ、て言い寄られた場合。あなたならどうします? 受け入れられますか?
私なら全力で逃げますね。縁を切る事はないでしょうがその後気まずくなるのは必至でしょう。
同性愛者の相手はほぼ間違いなく同性愛者でしょう。同性愛に対する認識が進んでいないのはそもそもこの同性愛者の絶対数が少ないからに他なりません。右利きの人が多いから道具がすべて右利きの人が使いやすいように作られているのと同じですね。人間は多数決を好みますから「多い方=絶対」と言ういわば刷り込みがあるのです。更に言うと異性間だって簡単に恋愛成就する訳ではありません。相性がありますから。それは同性愛者だって同じことでしょう。だからこそ同性愛って現実的じゃないんですよ。
大げさに言うと同性愛(ここでは百合)はほとんどファンタジーなんです

それなら百合好きは作品に何を求める?

恐らく上に書いたことは殆どの人が「言わずもがな」と言ったごく自然の事でしょう。それなら当然百合が好きで漫画やアニメを見る人だってそれを明確に言葉に出来ずとも理解できているはずです。それならフィクションで百合を好む人は作品の中に何を求めているのでしょうか? これは一言で言えば、

大団円

でしょう。要はハッピーエンドが一番だという事。実際1話も2話も3話も紆余曲折はあれどもカップルは無事成立しています。

ハナから現実的でない事を理解している以上、せめて空想上の百合はうまいこと言って欲しいという願望が詰まっているのです。

これが同姓でなく異性だとしたらむしろこういう大団円は物によっては納得がいかない時もあるでしょう。男女のカップルなら普通に劇中で破局することもあるだろうし、そこから更に話を広げる事だって普通にある事だと思います。でも百合の場合そうなる事はまずほとんどない。百合ものに出てくる人たちは幸せになるべきと言う固定観念があるのでしょう。

しかし現実は非常なり

ここで最初に置いておいた4話5話を見てみましょう。この2つの話は決して大団円と言える物語ではありません。

4話は恵真の暴力を伴う片思い。5話は梨花の想像上の一方的な片思い。

まずそもそも両想いにすらなっていません。どちらも片思いなんです。

でもね、多分現実ってこんなもんなんですよ。上に書いてきた通り、好きな相手が同性愛者か分からない、同性愛者だとしても気が合うかどうか分からない。この2つを4話5話ではきれいに描いているのです。(・・・書いている当人が言うのもなんだけど・・・ちょっとずれてる?)

要するに・・・

  1. 百合は大団円が基本である。
  2. 百合はファンタジーである。

そう考えると4話や5話のように現実味を帯びた話ってとても簡単に受け入れがたいんですよ。だからショックを受けるのです。少なくとも私は動揺するぐらいのショックを受けました。それこそこうやっていち早くブログに記事を残したくなるくらいに。

「ゆりゆり2」には、ファンタジー色の強い百合漫画粘度すらある人間の感情を大いに含ませた現実味の強い百合漫画の両方が載っているのです。何よりすごいのはそんな両極端に分離される5作品を完全に描き分ける事が出来るなもり先生ですよ。先日、私は「なもり先生を神と評する意味が理解出来た」と呟きましたがその理由がこれです。確実に文字制限に引っかかるのでここで改めて長々と書かせていただきました。

今の私は上っ面の相手を持ち上げるような邪な思い一切なくなもり先生を神、いや神様という事が出来ます。例えが悪いかもしれないけど宗教にハマる人の気持ちがちょっと理解出来た気がする。・・・ちょっと違うか。

これは分かる、分からないじゃなく分かって欲しい事ですね。きっと「ゆりゆり2」を読めば理解出来ると思うんですけどねぇ。

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簡単にまとめると「なもり先生マジ半端ない」って事。もっとなもり先生の描く百合漫画を読みたくて仕方がありません。まず「ゆりゆり」、その前に「ゆるゆり11~16巻」を読む事から始めましょうかね。

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