きらら探求軍〜細々と息をするオタクの足跡〜

主にまんがタイムきららコミック、ウマ娘に関することをぼそっと書いています。ちょこちょこyoutubeにも投稿していたり。

40 がっこうぐらし!考察まとめ其の3〜丈槍 由紀の生き様~

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長々と書いてまいりましたがっこうぐらし!」の考察記事は終わりとなります。

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まさか5本も書くとは・・・。記事全体の12.5%を占める量です。

以下まとめ。

3 がっこうぐらし!を真面目に考察してみる - きらら追随記

13 19年12月号MKフォワード「がっこうぐらし!」~前回の考察を添えて~ - きらら追随記

38 がっこうぐらし!考察まとめ其の1~Ωとの正しい付き合い方~ - きらら追随記

39 がっこうぐらし!考察まとめ其の2〜「かれら」のメカニズムを解く〜 - きらら追随記

 

 

 

 

 

丈槍 由紀とは

 

がっこうぐらし!」の主人公格の登場人物で巡ヶ丘学院高校「学園生活部」の一員。

学園生活部のムードメーカー兼トラブルメーカーで物語を動かしてきた牽引役。

物語の転換の起点になってきた彼女が見せる行動というのは明らかにおかしさを孕んでいました。「かれら」並みにホラー要素を提供していたのは彼女です。アニメ1話は丸々彼女の狂気っぷりを示すのに使われていたし、6話で恵が実在しないことが判明するシーンなんて演出が露骨すぎてシンプルに映像作品として悪寒を覚えるレベル。

 

そんな由紀は幼児退行と思わしき言動を繰り返し、美紀や恵から多重人格ではないかと疑われていました。

 

幼児退行とは

幼児退行と聞いて私が真っ先に思い出したのが兄弟が出来た2.3歳くらいの子供が見せるやきもちのようなあれ。今まで構ってくれていた両親が自分とは別人を構うようになり再び自分に注目を集めるために普通はやらない幼児がやるような行動を見せるあれです。

一般的に記憶障害とは、打開できない苦しい現状に陥り耐え難くなった時や、トラウマを再体験した時「現実逃避という防衛機能」として発現し、

  1. 子供のようになり意思疎通ができなくなる
  2. 記憶障害を起こし現状を理解できなくなる

などの症状がみられるようになるらしい。

 
 

多重人格とは

これまた私が最初に多重人格と聞いて思い出すのはジェノサイダー翔。「ダンガンロンパ」に出てきた超高校級の殺人鬼超高校級の文学少女腐川冬子の解離したもう1つの人格。父親1人に母親が2人という特殊な家庭事情や学生生活で悲惨な悲惨な体験を重ねた結果人格が2分したらしい。

一般的に多重人格とは最も重傷の解離性障害として扱われる。

(本人にとって耐えられない状況から自分を切り離し、思い出せないようにして心の保護を行おうとする障害)

 

イマジナリーフレンドとは

そしてここからがは私が建てていた考察。

単行本1巻1話末の見開きのページや恵が既に実在しない人物であることを踏まえて考えついたのがイマジナリーフレンド

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イマジナリーフレンドとは字面から分かる通り空想上の友達、砕いた言い方をすれば私にしか見えないお友達。由紀の場合そのイメージにしっかりとした形が付与されています。

重度なストレスにさらされた時、性格をイマジナリーフレンドに転嫁させ、多重人格の様な振る舞いをすることもあります。

 

最後の「がっこうぐらし!」考察記事となります今回では上記の3つの症状

  1. 幼児退行
  2. 多重人格
  3. イマジナリーフレンド

の合わせ技。つまり

  1. 幼児退行+多重人格
  2. 幼児退行+イマジナリーフレンド

どれが最適な解なのか、そして結局この2つ全部違うんじゃね? という点について見ていきたいと思います。

 

※なお、幼児退行は共通項なので以下では記載を省略します。

 

ここで多重人格とイマジナリーフレンド(以下IF)を区別する点について説明を入れておきます。

多重人格とIFの最大の違いは、由紀場合恵が内の内にいるか内の外にいるか

恵という存在のイメージを自分の分裂した精神に当てはまるか自分で1から作り出したイメージを被せるかの違い。

つまり多重人格の場合由紀と恵は同一人物でありIFの場合由紀と恵は別人ということになります。

 

 

 

その1 由紀を制止する恵

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単行本1巻第3話より以下の一幕。

物資調達を兼ねて肝試しを始めた学園生活部。図書室にて胡桃や悠里と行動を別にした由紀は室内で1人の「かれら」を発見してしまう。危うく大声を出してしまいそうになった由紀を恵が制止し、由紀にじっとしているように言うとどこかに行ってしまう。

多重人格の場合

そもそも人格が分裂した外的要因が何なのか、という話でもありますがもしこれが「かれら」にあるのだとしたら由紀にとって「かれら」こそ1番考えたくない、頭から消し去りたい忌まわしい記憶であり、その記憶を塞ぐように新たな人格=恵が構成されているはずです。

図書室の件を見ると由紀には「かれら」が危険な存在として映っていないように見える反面恵はハッキリ「かれら」を危険な存在として認識しています。

ここで重要なのは恵も由紀であるということ。

つまり由紀が多重人格の場合、「かれら」が何なのかはよく分かっていない反面危険な存在だということは認識しているということになります。

由紀を置いて恵だけが様子を見に行ったのは由紀の中に「かれら」について関心があることの意趣返しとも取れます。

IFの場合

こちらにしても多重人格とほぼ差はありません。ただこちらの場合言動に多少の客観性が付与されます。由紀と恵は別人なんですから。

自分ではなく人の手によって口を塞がれた状態になります。

恵1人で様子を見に行ったことについて、こちらの場合多重人格とは逆で「かれら」には極力関わりたくないというようにとれます。

実際恵が去ったあと、由紀は1人で震えていました。

 

このシーンに限らず由紀に恵がアドバイスをするシーンは多数あり、恵が言うことはすべてどのシーンも多重人格なら由紀がやりたいこと、関心があること。IFなら逆にやりたぬないこと、関心のないことになります。

 

その2 壊れたラジカセ

 

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アニメオリジナルのシーン。

学園生活部に仮入部した美紀に学園内の案内をする由紀。音楽室で

問題なのは由紀が手にしていたラジカセを恵に渡した時、ラジカセを落として壊しているということ。

多重人格の場合

この問題点が多重人格だと説明できません。だって由紀と恵は同一人物なのだから由紀が恵に物を手渡したとき、その物は変わらず由紀の手にあるはずなのです。体は1つしかありませんから。

IFの場合

この問題点を何ら問題なく解決できます。恵は由紀にはそこにいる存在として感じられるのだから物を手渡したとき、その物は由紀の手を離れどこかにいってしまうはずです。

 

漫画には由紀が恵に物を手渡すシーンがない(確認した限り)のでシンプルにアニメと漫画で多少キャラクターが変わっている可能性もありますが今回はどちらも同じキャラクターということで。

 

私が推すのは…

最初に書いた通り私は恵は由紀のイマジナリーフレンドという説を推します。そうでなきゃ説明できない事柄もありますし。

ただ根本的な話、上に挙げた2つの仮説に正解はあるのでしょうか。そう思える点を2つ挙げます。

その1 本当に幼児退行?

幼児退行というのはどちらの仮説でも共通の、言わば前提条件ですが、実際のところ本当に幼児退行を起こしているのか怪しい点もあります。

それは2つ目に挙げた幼児退行の症状。

記憶障害を起こし現状を理解できなくなる

なるほど確かに荒れた校内や外の風景が普通に見えていたり学園生活部の活動を楽しんでやっているのだから現状を理解できてはいないでしょう。でも「かれら」に関してはまったく理解していない訳ではありませんよね? そうでなくちゃ上に挙げた通り図書室で声を上げることを制したりしないし次のコマのように「危ない」という単語も出てきはしません。

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「かれら」について具体的なことは分からずとも自分に害を成す存在であることはしっかり理解できているんです。

記憶障害という点についてもこの記憶障害が

  1. 記憶を思い出せない
  2. 新しいことを覚えられない

ことを指すのならまず2つ目についてはクリアしているでしょう。なんとも言えないのが1つ目。

由紀の場合思い出せないと言うより思い出したくないと言った方がしっくりくる挙動を見せているので思い出せないと言う意味なら記憶障害は起こしていないでしょう。

 

その2 本当に恵は由紀にしか見えない?

 

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単行本5巻第27話

炎上する校内で、煙が立ち上る中安全な場所を探してさまよう由紀と悠里。衰弱した由紀が指さした方向に人影を見た悠里が必死にその人影を追うとかつて恵が自分を閉じ込めたシャッターに行きつく。

いざという時に由紀が頼りにするのは恵だろうし、だとすればこの時に悠里が目にした人影は恵のものでしょう。だとすれば本当に恵は由紀の頭の中にしかいない存在と言ってよいのでしょうか? 

正直これは書きながら自分で反論材料が揃っちゃってるんですが。

人影を見たのが美紀でも胡桃でもなく悠里というのが1つのポイント。何故なら高校を出た後悠里は由紀も顔負けの幻覚を見ていますし、そもそも美紀以外の学園生活部創設メンバーの3人なら由紀のように明確に形にすることはなくても恵に、彼女が命を落としたとでも頼るような弱さみたいなものもあるんだろうし、この点は、ね。

誰の心の中にもめぐねえはいるんだよ。

あとアルノー・鳩錦のことも忘れないで上げて。あいつ今どうしてんのかな・・・。 

 

まとめ

5本にわたり考察記事を書いてきた「がっこうぐらし!」ですがもう最終巻も出ましたし、個人的に掘り下げたいこともないのでこれで考察は終わりにしたいと思います。正直尻すぼみ間が半端ない。前回の出終わりにしておけば良かったかな・・・。

次は「まちカドまぞく」行ってみよー。