【キャラット2月号】「escape into the light」を読んだらなんとなく”空気系”という作品の本質的なところを理解できたような気がする【読切・ゲスト感想】
やっぱりスマブラは面白んじゃ。
以下が目次です。
23年2月号『まんがタイムきららキャラット』
「ひだまりスケッチ」のカラー絵を見るたびに思うことはやっぱり、
目の描き込みが綺麗
ということ。
ちなみに今月号の表紙にはこんな一言が。
やっぱり年明けってめでたくもなんともないじゃないか。
escape into the light
身内とのゴタゴタで活動を無期限休止してしまったwebで匿名で活動するアーティスト「mirai」とその人「青葉(あおば)みき」がmirai信者「片平(かたひら)つむぎ」と共に活動再開を目指すこの漫画、の第1話。
これは良い感じの会話劇だなぁというのが初見の感想です。
まあ会話劇を描いているつもりが作者のむぐら先生にあるのかは知りませんが、今のところこの漫画はどう見ても会話劇です。
まず今のところ片平の中でのmiraiと青葉の評価が180度逆なのがとても良いですね。
青葉の喉だけを評価しているって感じ。
あと陰キャのレッテルを貼られておきながらしっかり言うことは言うというあたりが根暗といった感じか。
で、会話劇といえば当然「会話」の「劇」な訳ですから、そこには必ずトークテーマのようなものがあるのです。
第1話の場合、miraiに対してケジメを付けきれない青葉に対して片平が活を入れるというのがテーマ。
やはりきららに載るこの漫画も空気系の作品です。
つまり例えばノベルライクなゲームの「ダンガンロンパ」のように登場人物の住む世界観そのものに面白みは一切なく、その上で会話劇を展開しようと思ったら必然的にその会話をする登場人物のキャラ立ちと、その立ち位置をはっきりさせないと読み手も引き込まれないものです。
その点から見ても青葉の片平に対する立ち居振る舞いが本当に良い塩梅で読んでいて面白いんです。
ところで話は変わりますがいわゆる「空気系」とよばれる作品の本質的な部分を理解できたような気がしました。
空気系とよばれる作品は、
登場人物のキャラストーリーがいくつも折り合って1つのストーリーを構築している
というのが大きな特徴なのでしょう。
「がっこうぐらし!」のように世界観そのものがストーリーになるような漫画ではなくて。
はい閑話休題。
ぶっちゃけ会話劇って漫画でやる意味ある? とか思ってしまいます。
だって絵に動きがほとんどないし・・・。
いわゆるエッセイ漫画の絵柄が基本的に描写が緩やかで甘い書き込みの方が、会話劇にもあっているのでは、と思ってしまいます。
映画やドラマみたいに人物に動きがあれば、とは思います。
TEAM NACSの舞台「悪童」とか見たらなおのこと。
良質なゲスト漫画の最大の特徴は登場人物を限りなく少なく抑える、という点にあると思っています。
会話劇なら2人いれば十分なのです。
この漫画のように。
だからある意味この点はどうしようもない点でもあるのですが、最初の1ページ。
ここを読んだだけて、
あ、miraiの中の人が出てくるんだろうな
と予想できてしまいますし、青葉みきという新キャラが出ただけで、
あ、この人がmiraiなんだな
と予想できてしまうのです。
最近きららにこの手のゲスト漫画がちょくちょく載っていたから、というのもあったのかもしれませんが。
これってつまり青葉の裏と表の顔を同時に見せているようなものだから、正体を明かした時の驚きというかサプライズ感が薄れてしまうんですよね。
その点をむぐら先生も理解されてのことでしょう、青葉が片平に自分がmiraiであることを4コマの最後、4コマ目に描いております。
これは上手い、と私は思う。
もしこの告白コマが3コマ目にきていて片平の驚きリアクションが4コマ目にきていたらちょっと冷めてたかもしれない。
登場人物の構成的にというメタ的な視線で見れば青葉がmiraiであることはここまでの展開でほぼ確定的なわけですし、読者が計り知れることをそんな大層に書かなくても良いよ、とは思ってしまいますね。
というかフィクション作品は常に視聴者はメタ的な見方をするのが常道だと思いますし、これは描き手にしても同じはず。
だからこのコマ割りに関してはシンプルにむぐら先生が漫画を描くのがうまいだけなんだろうと思っています。
何度も読み返すたびにスルメのようにこの漫画の構成的に面白いところがチラチラ出てきて感想が止まりそうにないのでこの辺で書き止めておきます。
自制の心。
まとめ
ついに本性を表したわね「mono」。
もう4コマじゃなくても良いんじゃねとは前々から思っておりましたけども、ついに。
別にフォワード以外は4コマじゃなくちゃいけないというルールも多分ないんだろうし(フォワードに「限界ゲーム飯」とかいう4コマ載っていたし)こういうので良いんじゃないんですかね。
「RPG不動産」はこれまでの展開的にそろそろ最終回か? とか思っていましたが今月号の展開的にまだまだ続きそうな感じ。
「死神ドットコム」は今月号が最終回。
次にくるマンガ大賞2022にノミネートされていましたし、世間からも一定の評価はあったのだと思いますが、最終話を読むと、この漫画は確かに人を選びそうな漫画だな、と改めて思ってしまいました。