「空の下屋根の中」ってどんな漫画?|きらら探求軍
どんな漫画雑誌にもその雑誌特有の”色”があり、その色に似つかわしくない作品を”異色作”と呼びます。
今回はきららにおいて間違いなく異色作であった4コマ漫画「空の下屋根の中」について私見を交えながら書いていこうと思います。
「空の下屋根の中」ってどんな漫画?
2008年6月号から連載が始まり2010年6月号で連載が終了しました。
既刊単行本数は2巻。
いわゆる2巻ルートというヤツできららの場合、2巻ルートは打ち切りルートと言っても過言ではありません。
なので「空の下屋根の中」も打ち切られた可能性が非常に高い漫画です。
この漫画を異色作とするのは後に簡単にあらすじを書きますが、高校を卒業し大学に進学することも就職することもしなかった無職=ニートが就活し就職するまでの間の話を描いた漫画だからです。
就活漫画というヤツです。
きららに限らずなかなかないジャンルの漫画なわけで、そうなるときららではとことん浮く漫画ともなります。
そう考えれば打ち切られたと考えてもなんら不自然なことではありません。
逆に考えればきららの色に沿わせようとせず、内容を”就活”に徹底した漫画であり、その分2巻という短い話数での話にはなりますが1話1話に明確に作者の思うところ、もしくは描きたかったんだろうな、というものがなんとなく伝わってくるような漫画でもあります。
短命な割に骨太な漫画
「空の下屋根の中」とはそういうような漫画です。
あらすじ
高校を卒業し、進学も就職もせず晴れて無職となった「香奈絵」。
しかしニートであることに後ろめたさがあるため、高校からの友人でスーパーに就職した「まゆこ」とバチバチのブラック企業に就職した「木津」との交流を深めながら香奈絵が就職するためにあれこれ頑張る。
人間のメンタリズムを1から考える
これは超個人的なお話ですが最近「ゼルダの伝説ティアーズオブキングダム」に時間を取られて他のことに手がつきません。
初日に15時間っておい・・・。
まぁ別にゼルダがどうのこうのって話じゃなくて自分の好きな事に関しては時間を費やすことになにも抵抗感はないでしょ? という話。
逆に自分の嫌いな事に関しては極力時間を割きたくないと思うのが普通。
それでは閑話休題。
就職活動に好んで時間を割いていた人はいるのでしょうか?
ぶっちゃけ職種とかにもよるんでしょうけど一般的にはNOでしょう。
少なくとも私はそうだった。
そしてそれはこの漫画の主人公香奈絵にしても同様のこと。
ましてや彼女は勉強したくないということから進学をせず、面倒臭いということから就職をしなかった人です。
いくらニートであることに否定的であったとしても過去に背を向けた事に対して改めて正面から向き合うのは相当精神力を必要とされることでもあるのです。
そして「空の下屋根の中」は、その精神力を香奈絵が培っていく様を描いている漫画なのです。
人の成長する様を描いているところはさながらエッセイのよう。
そういう意味でも「空の下屋根の中」はきららにおいて異色の漫画だったと思います。
ここまで登場人物の成長の過程を、しかもファンタジー要素なく、環境の変化もほとんどなく描けるのはシンプルにすごいと思う。
ただそういう凄さはきららでは不必要だったみたいで。
まぁ内容的に打ち切りでなくとも4巻、5巻と長続きすればするほど蛇足感も強くなってきますから、仮に2巻エンドでなくとも3巻くらいで終わっていたのでは? とは思います。
そういう意味だと「空の下屋根の中」は打ち切り漫画ではないのかもしれない。
最初からこのペースで連載を終了するつもりだった可能性も十分あり得るでしょう。
今後の「異色作」について
「空の下屋根の中」は連載終了しているため今後はありません。
なので今後のきららにおける”異色作”について。
正直最近のきららで言う”異色作”というのがどんな漫画なのかが私にはわかりません。
異世界モノありグルメ物ありアクションありファンタジーあり空気系ありスポーツありアウトドアあり。
随分きららは雑食です。
それでも共通して”萌え”に重きを置いていることは確かだろうし、それからかけ離れたジャンルの漫画が”異色作”となるのでしょう。
それこそエッセイ漫画だとか「空の下屋根の中」のように社会派の漫画とか。
特に社会派漫画。
この漫画が再びきららで読める時をそこはかとなく期待しています。
ほんと、そこはかとなく。