【MAX7月号】「ラスボスは逃げ出した▽」とブレないキャラの軸【読切・ゲスト感想】
そろそろ有料版へ移行したいような、したくないような・・・。
以下が目次です。
22年7月号『まんがタイムきららMAX』
動画の作り方といい記事の書き方といい、一貫性というものがまったく見受けられませんが、それでもぼちぼちやって行けるモンです。
ラスボスは逃げ出した▽
1ページ目で世界観を読者に知らしめる漫画は強い(確信)。
同MAXにて前後編が掲載された本作。
読んでいてシンプルに面白いなぁと思ったので感想の方をね、マーっと書いてみようかと。
なんてシンプルな漫画なんだ・・・
まずは簡単にあらすじから。
長く続く人間と魔族との争いの中、勇者と魔王は幾度となく戦いを繰り返していたが、大抵魔王が負けていた。
そんな歴史を痛いほど学んでいた現魔王は人間に包囲され今にも落城しそうな魔王城からの逃亡を試みる。
これがとにかくシンプルに面白いんですね。
この「シンプル」に面白い、というのがどういうことなのか、というと話がシンプルである、ということです。
で、「話がシンプル」というのは別にストーリーが単調だとか、捻りがない、ということではまったくなくて、これは登場人物の行動心理にブレない芯があるからということに尽きます。
魔王:人と争わず魔王城から逃げ出したい
配下(スライム):魔王にはちゃんと魔王としていて欲しい
配下(四天王):特に魔王を守ることにこだわりはない
人間:魔王に確殺を入れたい
もうこの4つだけ。
特に人間の打倒魔王への流れの産まれ方が分かりやすくて、
国王の像が壊された
↓
魔族の宣戦布告か?
↓
魔王ぶっ殺す
といった感じ。
もう人間がシンプル。
国王に対し謀反をたくらむ人間だっているだろうにそういうことはまったく考えずに打倒魔王となる、このシンプルさが非常に好印象。
もっともここから人間同士でのドロドロした事情を描かれても面倒なだけになるのは分かり切っているからそんなの描こうとは誰も思わないだろうけどという漫画を描くならそれはまた別の話)。
他の漫画だと例えばジャンプ+に掲載中の「姫様”拷問”の時間です」とかと似たような漫画かもしれませんね。
やり取りがシンプル。
絵も混みあっていなくて読みやすい。
上手なテンションの落差の表現。
登場人物の自分のキャラクターに則った言動の数々。
一作品として貶しようがない程完璧に仕上がっているように思います。
というか同MAXに同じくゲストとして載った「お狐さまは小生意気!」が個人的に面白さをほとんど感じれなかったから相対的に面白さにブーストがかかっているような気もしますが、多分そんなの抜きにして良作だと思います。
というかそう思いたい。
ただ1つだけ言ってしまうとこのようなシンプルな漫画の正直”読切”という形態での掲載時に真骨頂を表すという側面があるように思います。
何故なら登場人物に明確なキャラクターを与えそのキャラに則った行動を取らせたうえで話を進めるというのはそれ自体が縛りとなってしまうからです。
もちろんこれはどんな漫画にも共通して言えることです。
でも「ラスボスは逃げ出した▽」のようにシンプルなやり取りの上で進行していく漫画の場合、その縛りはかなり致命的なモノとなります。
その縛りをどうやって緩めていくか、というとこれはやはり新キャラに頼るしかないわけでして。
この点が先程上にも挙げました「姫様”拷問”の時間です」だと見事にやってのけているんですね。
料理はシンプルなものほど調理者の技量が表れるものです。
これは漫画にしたって同じ事。
もしもこの漫画に続きがあるのだとすればその時に作者のふぃ量がハッキリと示されることでしょう。
個人的にはこのまま有終の美を飾って終わって欲しい欲7割:続きが読んでみたい欲3割といったところ。
まとめ
前に発売されたきららがなんか全体的に面白みがかけていたように感じていたので「ラスボスは逃げ出した▽」はかなりいい刺激になりました。
1つ気がかりなことを上げるとするとなんか「六条さんのアトリビュート」の掲載順が後ろの方に固まっているような気がすること。
どんな漫画でも単行本の節目ごとに盛り上がりどころが埋まれるのは当たり前のことなのですが、「六条さんのアトリビュート」はまだ単行本が1巻しか出ていませんから。
2巻エンドという結末も十分あり得るんですよね。
これが怖い・・・。