86 記念すべき200号で散った「海色マーチ」~期待に胸躍る「しあわせ鳥見んぐ」~
気付けばきらら展in新潟までとっくに1か月を切っている今日。
モンスターハンターワールド:アイスボーンにハマっています。
20年7月号『まんがタイムきらら』
今月号は創刊から数えて200号ということで、小冊子が付属してきます。
電子版じゃ読めないのかな、と思ったらそんな事もないようです。
少しはアナログ派を優遇してくれても良いのよ?
『まんがタイムきらら』が独立創刊したのが2003年11月。
なので今月で16年と7か月が経ちます。
これは長いの?
他の月刊誌や週刊誌を読んでないから分からないけど、多分長いんだろうなぁ。
記念すべき号で散った「海色マーチ」
そんな記念すべき号となった20年7月号の『まんがタイムきらら』ですが、目次を見ればひと際物悲しい表記。
先月号でアナウンスがありましたが、今月号で「海色マーチ」が連載終了しました。
うーん。
私、最近になってきらら系列の漫画を読むようになったので何とも言い難いのですが、連載量が単行本2冊分って短いんですか?
長くないことは分かる。
連載が終了する場合、そこには3つのパターンがあると思っていて、
- ストーリーが完結した
- 作者が描きたいことを描き切った
- 打ち切り
もう答えはなんとなく分かってはいるけども。
海色マーチがどれに当てはまるのかを見ていきたいと思います。
もう答えはわかt(ry
ストーリーが完結した
もうすぐこんな形で終わりそうな漫画が『まんがタイムきららキャラット』にありますよね。
そうです、「ひだまりスケッチ」です。
ゆのの高校入試から物語が始まった以上、物語の終焉はゆのの卒業となるはず。
作中では今、ゆのは高校3年生で文化祭が終了したところ。
つまり秋で、じきにセンター試験が始まる頃合いです。
ストーリーを完結して終える漫画には当然ストーリーがあるわけで、逆に例えば「はるみねーしょん」とか「キルミーベイベー」みたいな作品って終わり方を簡単に予想できるような作品ではないですよね。
これらには話の主となるストーリーがない。
言い換えれば時間の流れそのものがないに等しいからです。
この点「海色マーチ」はどうだったかと言えば、これには当たりません。
時間経過が分かるような描写は記憶にございません。
だからストーリーが完結したから連載終了したわけではなさそう。
作者が描きたいことを描き切った
ワンチャンこれもありかな、とは思っていました。
はじめのうちは。
この場合、その作品には強いメッセージが込められています。
そして最終回間際には、作者が本当に伝えたいことがハッキリ分かるはずです。
それならミナミト先生が「海色マーチ」を通して読者に伝えたかったことってなんなのでしょうか。
直近6か月分の「海色マーチ」を読み返してみた結果、出た答えとして、
んなもんねぇよ
あったとしても私には読みとれませんでした。
打ち切り
と言うことで消去法で残った解は打ち切りオンリー。
今月号と先月号とで物語の構成は前編・後編となっていたので、たとえ打ち切るにしてもスパッと終わらせず、そのための準備をさせてくれているのは芳文社の優しさ?
この記事にも書きましたけど、「海色マーチ」って途中から掲載順が後ろの方にずれて、それ以降上に上がってくることがなかったんです。
他の雑誌のように掲載順がそのまま人気順になっているのなら、やっぱり打ち切りと考えた方が自然ですね。
個人的には周と珊瑚の軽いバイオレンス要素のあるやり取りが好きだったんですけど、それが大衆には受けなかったんですかね。
短期連載だった可能性も・・・?
ここまで書いてそういやこんなのもアリかもと思ったのが、最初から短期間で連載を終了する予定だったという可能性。
先月号と今月号の話の内容は、
珊瑚が島から持ち帰ってはいけない物を元の場所に戻しに行く
というもので、この文脈の前には、
せっかくの連休だから予定埋めようよ、珊瑚はどこか行きたい場所ない?
とあります。
なのでハナから連載を終了させるつもりだったのなら、
連休中、各々が行きたい場所に行き、その中で珊瑚が過去の過ちを清算する
みたいな感じかな、と一瞬思ったんですけど、よくよく思い出してみればこの「連休」というワードが初めて出てきたのが先月号なんですよね。
うん、短期連載ではなさそう。
やっぱり打ち切りかぁ、なんか悔しいなぁ。
期待に胸躍る「しあわせ鳥見んぐ」
「海色マーチ」は十中八九打ち切りでしょうけど、完全に打ち切られたであろう作品「佐藤さんはPJK」の作者、わらびもちきなこ先生の新たなゲスト連載「しあわせ鳥見んぐ」が今月号から始まりました。
読んでみて改めて思ったけども、やっぱりわらびもちきなこ先生絵は上手いんだよ、絵は。
あらすじ
自分の描きたいものが分からない美大生のすずは「自分が本当に描きたいもの」を探していた。
そんな時に奇妙な女性のバードウォッチャーと出会う。
その女性に連れられ様々な鳥を観察していくなかで、自分の描きたいものを見つけながら同時にバードウォッチングに興味を惹かれる。
感想 最高なスタートなのでは、マジで
最初に一言で感想を言っておくと、普通に面白かった。
まずこれは個人的な話で、私は風景写真をよく撮るのですが、チャンスがあれば鳥の写真も撮ります。
でも鳥の種類とか生態とかはまったく気にせず、撮れる鳥を撮っている感じです。
そういう鳥に興味はあるけど知識を深堀りしたいほどではない私にとって、バードウォッチングを主題に置いているってだけでもう既に面白いんですよね。
そういう個人的なおもしろさはともかく。
見せ方がかなり上手い印象を受けました。
主人公のすずは、自分の描きたいグッとくるものがなんなのかが分からず、大学の講評では、
「作品に色がない」=「個性が表現できていない」
とまで言われてしまいます。
そんな彼女が奇妙なバードウォッチャーと出会い、身近にいた鳥の魅力に惹かれて描いた絵は当然漫画の1コマなので白黒なのですが、それを超えた色味すら感じるレベル。
もちろんこれはどれだけすずに感情移入できるか、という大きな壁もありますが、それ以上に4コマの壁を越えた構図による鳥の見せ方がうまいからこそできる技なのではないでしょうか。
このコマの見せ方という点において特に印象に残っているのが次の1コマ。
すずに鳥を見ることのなにが楽しいのか、と聞こうとしたすずの言葉を途中で遮り、言葉は何も語らず無邪気そのものの顔をしながら辺りに注意を向けさせるバードウォッチャーの図。
陽気な空気とか、身近が過ぎて注意することがほとんどない鳥の鳴き声とか、純粋無垢にバードウォッチを楽しんでいるバードウォッチャーとか。
「海色マーチ」の読者に現沖縄在住の人が少ないように、バードウォッチングを趣味にしている人ってどこかしこで出会えるほど多くはないと思います。
それこそすずのように撮りを見ることの何が楽しいのかがまったく理解できない人もいるだろうし、理解しようとしない人だっているかもしれません。
そんな人たちに対し、このバードウォッチャーは言葉ではなく、肌でその魅力を感じるように促すのです。
この1コマ(?)がとても印象に残っているんですよねぇ。
すずがバードウォッチに目覚める起点でもありますしね。
ということで3話中の1話を読んだ限りかなり良いスタートを切っているのではないのでしょうか。
これからの話の展開に期待です。
ちなみにまだ「佐藤さんはPJK」の2巻を買えていません。
と言うか買える店がありません。
ネットショップで本はあんまり買いたくないんですよねぇ。