きらら探求軍〜細々と息をするオタクの足跡〜

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「がっこうぐらし!」ってどんな漫画?〜ささやかな考察を添えて〜|きらら探求軍

美女と野獣よろしく綺麗なものは汚いもののそばにあることで綺麗さが際立ち、逆に汚いものもその汚さが際立つものです。

今回はきらら作品において相反する二つの要素を内包するストーリー漫画「がっこうぐらし!」について私見を交えながら書いていきます。

 

 

 

 

 

あらすじ

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ゾンビ的な存在”かれら”が突如出現。

かれらに攻撃を受け殺害された人たちはことごとくかれらと化して急速にその数を増やし、社会機能はほとんどが崩壊した現代社会。

生き残った女子高生たち丈槍由紀、恵比寿沢胡桃、若狭悠里は巡ヶ丘学院高等学校教師佐倉慈に避難生活を導かれ、同高校にて避難活動を部活動の一環として捉えて活動する”学園生活部”を創部し、避難生活を送っていく。

 

がっこうぐらし!」ってどんな漫画?

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1mrnoname.hatenablog.jp

上の記事の内容がかなり当記事の内容に踏み込んできているので貼っておきます。

内容を簡単にまとめておくと、

”萌え”はジャンルではなくてあくまでも入れ物である

ということ。

絵の描き方の問題なわけですから当然と言えば当然のお話です。

普通可愛らしいものには可愛らしいものを掛け合わせたいと考えるものです。

実際現在のきららはほとんどがそういう考えのもので、「がっこうぐらし!」が連載していたフォワードで言えばそれが”野球”だったりパンやカレーといった”グルメ”だったり”アウトドア”だったり”芸術”だったりするわけです。

そんな中に”ゾンビサバイバル”なんて異質でしかありません。

可愛らしさなんてかけらもない題材です。

”可愛い”×”ゾンビサバイバル”

これはサバイバルの残虐性が登場キャラの可愛らしさを増長させ、一方キャラの可愛らしさがサバイバルの過酷性を増長させるのです。

まさに正のスパイラル。

そういう効果を作者が意識していたかどうかは別として事実、「がっこうぐらし!」では他のゾンビサバイバルによくある展開であるゾンビと徹底抗戦する流れがほとんどありません。

基本隠れるだけ。

そういうキャラクターたちの行動がなおのこと先ほどあげた正のスパイラルに拍車をかけているのです。

もっと言えば作中で武闘派と呼ばれる実に攻撃的な集団も登場します。

そういう奴らも正のスパイラルに(以下略。

これは今の世の中で色々な意味で嫌われることの多い所謂ポリコレに反する描写でもあります。

今ではそういう主張すらも正の(ry。

まぁつまり考えれば考えるほど「がっこうぐらし!」というのはハマればとことんハマるギミックが仕込まれているということです。

 

ささやかな考察を添えて

ハマるギミックの一つに考察の余地を残しているという点も挙げられます。

ネット上では「がっこうぐらし!」に関する考察記事が多く展開されています。

かく言う私もそれなりに書いていた過去もありまして。

1mrnoname.hatenablog.jp

1mrnoname.hatenablog.jp

で。

ネット上で考察系の記事を漁っていると、「がっこうぐらし!」に関する否定的な意見が多く見られます。

おそらく最終回がかなり投げやりな感じがあったからでしょう。

その点は私も納得。

と言うのも過去の描写の中にいくつか伏線と思われるようなものがあり、最終回でその全てが回収されたわけではないからです。

中には原作の海法紀光が投げやりになって終わらせたのでは? という意見もあります。

その実は海法紀光氏にしかわからないことなので深く追求はしませんが、私の意見を一考察としてここに書いておきます。

結論から書くとズバリ、

 

そもそも海法紀光氏はそこまで深く考えて書いていなかったのでは?

 

以上。

そう思う根拠は一つだけ、かつ全く定性的ではないのですが。

がっこうぐらし!」第1巻の巻末の作者の謝辞の項があります。

がっこうぐらし!」は原作と作画が別々なのでそれぞれに謝辞の項があるのですが、海法紀光氏の謝辞の項には「がっこうぐらし!」を書くにあたってお礼を伝えたい人が書かれています。

順に、

  1. メアリー・シェリ
  2. リチャード・マシスン
  3. ジョージ・ロメロ
  4. トム・サヴィーニ
  5. ブライアン・ユズナ

最後に読者に対して。

上に書いた5人が何者かを一発で見抜ける人はいるのでしょうか。

私にはわかりません。

実はと言うべきか上の5人は全員小説や脚本など何らかの形で文章を書くことを(あるいは”も”)仕事にしている人で全員代表作にゾンビ映画やホラー映画が挙げられています

特に一人目にあげたメアリー・シェリー。

この人はご存知フランケンシュタインの生みの親です。

一時真面目に「がっこうぐらし!」を考察する際にここに挙げられた5人の作品に目を通してみようと思い、真っ先にメアリー・シェリー著の「フランケンシュタイン」を読んでみました。

そして悟ったのです。

おそらく海法紀光氏は「がっこうぐらし!」のストーリー展開について深く考えてはいないなと。

と言うのが小説「フランケンシュタイン」の主要人物はもちろんフランケンシュタインによって作られる怪物なのですが、この怪物の出自に関する描写はほとんどなかったのです。

もちろん今の世でも到達していない科学力を以って生まれたフランケンシュタインの出自を正確に書く方が無理な話ではあるのですが、それにしても書かれていない。

その代わり怪物や怪物を作ってしまったフランケンシュタイン心理描写、あるいは彼らの周囲の人物の動向にスポットを当てて話は進んでいます。

この辺りがまんま「がっこうぐらし!」に当てはまるんですよね。

ゾンビ的な存在である”かれら”の出自に関してはほぼノータッチ。

ストーリー展開もかれらに包囲された世界の中で生き残った人たちの奮闘ぶりを描き、時に精神的に打ちのめされたり、それを打破したり。

異常な空間に取り囲まれた人たちがそれぞれに信念をもって生きるために足掻いている様を描いているのが「がっこうぐらし!」という漫画なのです。

そう考えると例えばめぐねぇの声の正体だとかわんわんわん放送局の放送主の正体とかゆきの服の違いや幻覚の正体とかそんなの全部どうでも良いんですよ

特に服装の違いなんかはただの描き違いなのでは? とすら考えています。

実際学校の教室にある教室プレートに表記ぶれがありましたし。

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(上の画像のプレート。Bと3、どっちにも見えますけど下画像のBの表記からして多分2-Bではなく2-3と書かれていてそのインク? が乱れているんだと思います)

とにかく海法紀光氏は登場人物たちを精神的に奮い立たせる何かをかければそれで満足だったのではないのでしょうか。

と、いう感じに私は捉えています。

ストーリーの骨格になるような部分はもちろん詰めていたんだろうなとは思いますけどね。

Ω云々の話ね。

ぶっちゃけ考察するような類の漫画じゃないんだろうな。

勝手に読者の間で盛り上がってただけ。

今となってはそんな気すらしています。

 

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